活動実績

「富山のすしはなぜ美味しい?」書籍出版

概要

「富山のすしはなぜ美味しい?」は、ジオリブ研究所所長でマグマ学者の巽好幸氏と、生活科学博士で食記者・編集者の土田美登世氏が共著で執筆した書籍です。2025年3月に北日本新聞社から出版されました。

 

テーマ: 「美味しいすしとは何か?」という問いに対し、富山のすしの美味しさの秘密を多角的に解明しています。

富山の地理的特徴との関連: 能登半島が迫り出す深海・富山湾と、北アルプス・立山連峰による4000メートルの高度差という奇跡的な地形が、いかに多様な生態系と豊かな海の恵みを生み出し、富山のすしを育んできたかを科学的に分析しています。

内容: 富山の食文化の歴史、天然の生簀(いけす)と呼ばれる富山湾の特性、すしを生かす豊かな米文化などに焦点を当て、その起源と歴史、そして味わいを科学的な視点から解説しています。

ビジュアル: ふんだんな美しいカラー写真や図版が使用されたビジュアルブックであり、視覚的にも楽しめる内容となっています。

協力: 郷土料理研究家の経沢信弘氏がエッセイを寄稿し、発酵デザイナーの小倉ヒラク氏が帯文を担当しています。

ジオリブ研究所の役割

本事業は、ジオリブ研究所合同会社として初めて取り組んだ出版事業でした。富山県はこの出版に全面的に協力し、本の出版は県の「寿司といえば、富山」ブランディングプロジェクトに大きく貢献することとなりました。

期間と経過

2023年の冬に出版事業の企画が提案され、1年半の取材、執筆、編集期間を経て2025年3月に刊行されました。

成果

この書籍は、上記ブランディングプロジェクトの「富山の食の強み」を理論的に裏付け、具体的な情報として提供することで、以下のような影響や成果をもたらしています。

  1. 科学的根拠の提供: 「富山のすしはなぜ美味しいのか」という疑問に対し、地質学や食文化の観点から科学的な説明を与えることで、富山のすしの美味しさの「なぜ」を明確にし、説得力を高めています。これにより、「豊かな自然と綺麗な水に育まれた」といった抽象的な表現に留まらず、具体的なエビデンスとして発信できるようになります。
  2. 認知度向上と魅力発信の強化: 書籍として出版されることで、より多くの人々に富山のすしの魅力を体系的に伝えることができます。特に、観光事業者や交通事業者、観光ガイドなど、富山の魅力を伝える立場の人々がこの知識を深めることで、県外客へのより深みのある情報発信が可能になります。実際に、書籍の出版に先行して講演会も開催されており、知識の普及に貢献しています。
  3. 関連産業への波及効果の促進: 寿司だけでなく、富山の水、米、地酒、そして食を彩る器など、関連産業の魅力を一体的にアピールする「寿司といえば、富山」プロジェクトにおいて、この本はそれぞれの要素が寿司の美味しさにどう貢献しているかを解説することで、総合的な富山の食文化への理解を深め、関連商品の購入や体験への興味を喚起します。
  4. ブランドイメージの確立: 富山のすしが単なる「新鮮でおいしい」だけでなく、その背景に壮大な大地変動の歴史と人々の営みがあることを示すことで、より深みのあるブランドイメージを確立するのに役立ちます。これにより、「寿司といえば、富山」というキャッチフレーズに説得力と重みが加わります。

このように、「富山のすしはなぜ美味しい?」という書籍は、「寿司といえば、富山」ブランディングプロジェクトにおける重要なツールの一つとして、富山の食文化の魅力を科学的かつ体系的に伝え、その価値を高めることに大きく貢献していると言えます。