活動報告

神戸観光局主催のLINK Cafe(於:神戸酒心館)で巽所長が講演しました。

2023年08月31日

8月30日、神戸観光局が主催するLINK Cafeにて巽所長が「神戸の水が生み出す美食&美酒~その秘密に迫る」と題した講演を行いました。会場となった神戸酒心館は清酒の福寿さんが地域振興事業として運営されている複合施設。中でも酒心館ホールはいつも落語や音楽の演奏会で賑わっている、木造吹き抜けの空間がとても素敵なホールです。この会、通常は神戸観光局の会員だけが参加できるのですが、今回は巽さんの講演とあって、一般募集をしたところ、定員70名のところ、あっという間に100名の応募があって満員御礼になったとのこと。始まる前から会場は熱気に包まれました。

巽所長は神戸の地勢的成立を300万年前のフィリピン海プレート方向転換から説き起こし、神戸を山間では軟水が、平野部(海岸寄り)では硬水が湧出する日本でも稀有な街と規定。硬水が湧く原因を85万年前に堆積した海成粘土が地表近くで硫酸酸性となり、この作用で中に含まれる貝殻を溶かして、海岸べりの伏流水を硬水にすると説明。これが灘五郷の酒造りに欠かせない「宮水」となったと結論づけました。更に硬軟両方の名水に恵まれた神戸は軟水=和食、硬水=フレンチ、イタリアンという複合的な食のブランディングが可能であり、行政としてもそれに取り組むべきとの提言を行いました。続く日本酒の章でも現代の日本酒マーケットがさまざまな「神話」によって多様性を失いつつあり、食とお酒のマリアージュについても醸造業界としてもっと情報発信すべきだと警鐘を鳴らしました。
会場の聴衆も大満足の様子で、終演後の名刺交換や著書へのサインを求める人が引きも切らずという状態でした。