活動報告
巽所長の新刊「美食地質学入門〜和食と日本列島の素敵な関係」(光文社新書)が刊行されました。
巽所長がこの一年で新たに書き起こした論考が新書になりました。名著「和食はなぜ美味しい」での考察をさらに進め広げて行ったものです。この1年間に旅をした八戸、鳥取をはじめ、北陸各所で考えたジオストーリーも含まれています。
◎内容紹介◎
日本独自の食文化、和食。出汁や醤油、豆腐に豊かな海産物は欠かすことのできない食材だ。では、なぜこれらの食材は日本で育まれてきたのか。その理由は日本列島の成り立ちにある。例えば、昆布出汁。ミネラル(特にカルシウム)を多く含む硬水では旨味成分をうまく抽出できず、軟水の多い日本だからこそ、その真価を発揮できる。そして、日本に軟水が多いのは、活発な火山活動と地殻運動によって急峻な山地ができたことで、川や地下水の流れも急となり、ミネラルが溶け込む時間が短くなるからなのだ。
和食と日本列島の成り立ちには、切っても切れない結びつきがある。そんな2つの意外で素敵な関係をマグマ学者であり、無類の食いしん坊でもある著者が丁寧に紐解く!
◎目次◎
プロローグ
第1章|旅立ちの前に
第2章|変動帯がもたらす日本の豊かな水
出汁:和食を支える水の秘密
豆腐:日本で独自の進化を遂げた理由
醤油:和食の名脇役の系譜
第3章|火山の恵みと試練
蕎麦:日本人のソウルフードである所以
江戸東京野菜:先人が克服した不毛な大地
第4章|プレート運動が引き起こす大地変動の恵み
うどん:〝消えた〟河川とうどん県の誕生
瀬戸内海の魚介:大地のシワが生んだ天然の生簀
江戸前魚介:地震と引き換えの海の幸
いちご煮・真牡蠣:三陸海岸の不思議な地形
第5章|未来の日本列島の姿と大変動の贈りもの
山梨ワイン:〝王国〟を生んだ伊豆半島の衝突
サバ・ビワマス・ハマグリ:日本のくびれは魚介の宝庫
第6章|日本列島の大移動がもたらした幸福を巡る旅
カニ:日本海はどう生まれたか
ホタルイカ・岩牡蠣:富山湾が深くなったワケ
しじみ:穴道湖と日本海誕生の痕跡
アユ:紀伊半島を造った古の超巨大火山
第7章|地球規模の大変動と和食
日本酒:地球の暴走が生んだ酒に適した水
エピローグ